先月、九州・博多でのセミナーの後、足を伸ばして八代、水俣、玉名と経巡ってまいりました。
ご存知のように、九州の西側は複雑に入り組んだ地形で、独特の美しい景観を織り成しています。八代海を挟んで、天草の対岸に位置しているのが水俣市。ここはかつて、チッソという会社が垂れ流したメチル水銀によって、日本の四大公害病の一つである水俣病が発生した地域です。
しかし、今現在は海もすっかりきれいになり、日本国内でも有数の透明度を誇っています。
海が汚染された時、仕事を奪われた漁師たちは山に上がり、生活のために果物を作りはじめました。
竿を鍬に持ち替えるには相当な勇気もいったでしょうが、幸い温暖な気候も手伝って、漁師たちが育てた柑橘類はよく育ったそうです。
自分たちの生きる道を奪ったチッソが製造していた農薬・化学肥料を拒絶するという意思が明確にあったのかどうかはわかりませんが、彼らは無農薬で果物を栽培しました。その畑にお邪魔してきました。山の斜面を切り開いて作られた畑には、かなりの種類の柑橘類が植えられていました。
みかんだけでなく、レモンやグレープフルーツもあります。
いただいてみると、どれも味が濃く、みずみずしく、甘味も十分あってとてもおいしい。
畑の主は、これからも農薬や化学肥料を使わずに作物を栽培していくのだ、とその決意を静かに話してくれました。朝食には新鮮で安全な果物を、と提唱している「ナチュラルエイジングプログラム」にとっては、強い味方の登場となりました。
元気に育つ玉名牧場の牛たち
水俣から北に向かうと、海は有明海と名称を変えます。
その有明海を遠く望む位置に、玉名牧場があります。東京ドーム3つ分の広い草原に、牛がわずか30頭。牧場主は、これが限界だといいます。
自由に牧場内を歩き回り、草を食み、仲間と暮らす牛たちはみんなおだやかで、楽しそうに見えます。無理矢理に、抗生物質がたっぷり入った配合飼料を食べさせられて育つ牛とは違い、糞も臭くありません。
しかし、すべての牛がこのような育てられ方をすると、食肉需要に供給が追いかなくなるわけですが、わたしたちの肉の摂取量が少なくなれば、それはすぐにでも可能になります。
では、わたしたちは、そのことで、なにか損失を被るのでしょうか。
そんなことはありません。
「ナチュラルエイジングプログラム」の中でも申し上げている通り、現代日本に暮らすわたしたちはむしろ、動物性たんぱく質を過剰摂取しています。その摂取量を適正にすれば、様々な問題が解決するのです。じつは、わたしたちの体内にはオートファジーといわれるシステムが備わっています。
これは、体の中でたんぱく質を造るのに必要なアミノ酸を、古くなった自分のたんぱく質を壊して造り出す、という合理的で無駄のない巧妙なシステムなのです。
このシステムのおかげで、わたしたちが食事から摂らなければならないたんぱく質の量は驚くほどに少なくてすみます。「ナチュラルエイジングプログラム」で提唱しているように、全食事量の中の10%という適正な動物性たんぱく質の量を守った食事は、わたしたち自身の体にとって「やさしい食卓」であると共に、環境にとって、地球にとっての「やさしい食卓」でもあります。
玉名牧場の牛たちとたわむれながら「ナチュラルエイジングプログラム」を一人でも多くの方が実践してくださるよう、願ったのでありました。
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ナチュラルエイジングを提唱するフードプロデューサー
KIYO(南 清貴)Official WebSite
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