3年前に書かせていただいたこの本が、装いも新たに「新書版」となって再登場します。引越し後の荷物がなかなか片付かず、ダンボールが積み重なったリビングの片隅にデスクを置いてこの本の原稿を書いていたことを思い出します。ところどころ書き加えたり、データを改めたり、一部削除したりしたのですが、いろいろな方面から「ツッコミ」が入ったところは、あえてそのまま書き直さず、出すこととしました。文句があるなら言ってこい、ってな気分です。そんなこといわなくても文句言う人は言ってくるとは思いますけど。
今回、新たにコラム等を加筆したわけですが、書きながら自分と家族が過ごしたこの3年を考えました。ほんとうに、大きな3年です。ここだけの話ですが、自ら選んだ道とはいえ、収入もなくなってしまい、この先どうなっていくんだろう、という不安の中で、あらん限りの力をふりしぼって書いた本です。それが、3年の月日を経て、再び世に出ることには、とても重要な意味があると思いますし、本の内容はちっとも古びていないし、むしろ3年前よりよく理解していただけるのではないかとさえ、思うほどです。農業をとりまく環境、事情も、この本に書かれているとおりに進行しているようですし、今のほうがリアリティをもって受け止めていただけるかもしれません。
すでにお読みくださった方々は、無理にとは申しませんが、新たに書き加えられたコラムなどをお楽しみいただければありがたいですし、まだお読みではなかった方々は、今こそチャンスです。ぜひ、ご一読いただき、私たちが日ごろ食べているお野菜たちの危ない背景を知っておいてください。知らずに食べてしまうより、知って賢い選択をしなければいけません。そのために、この本をお役立ていただきたいと思っております。